誰でも手軽にマイ漆器!老舗漆器店で楽しむ漆塗り体験。
皆さん、こんにちは!
TOURISTOREマネージャーの安田です。
「TOURISTORE」はデザイン事務所TSUGI、観光案内所Craft Invitation、レンタルサイクルのURUSHI BIKE、福井のグッドプロダクトを集めたSAVA!STORE、そして錦古里漆器店の5つの機能が集まった複合施設です。
今回はこのうち「錦古里漆器店」の漆塗り体験を、皆さまにご紹介いたします。

錦古里漆器店は昭和元年創業の角物専門の塗師の工房。錦古里正孝さんのお祖父様が創業されました。
主に料理店や旅館に卸す業務用漆器を取り扱っています。(※角物とは重箱や弁当箱のような、箱の漆器を指す言葉。)
錦古里漆器店が工房を構える鯖江市河和田は、業務用漆器の一大産地です。しかしバブル経済の崩壊とともに、産地全体の受注量は減少の一途をたどりました。それは錦古里漆器店を言えど例外ではなく、かつて東京の食器問屋が足繁く訪れていたショールームも、やがてほこりを被るようになりました。
ですがショールームとして使われていたスペースにTSUGIがオフィスを構えることで、錦古里漆器店と私たちTSUGIの関係が始まります。
そして2019年春。
TOURISTORE開業に向けた改装工事に合わせて、漆塗り体験のブースを持つ新生「錦古里漆器店」が誕生したのでした!

新生「錦古里漆器店」はオープン以来本格的な漆塗り体験のできる施設として好評を博しているのですが、錦古里さんには悩み、というか不満がありました。
「お客様は漆を塗る『体験』には価値を感じていらしゃるが、果たして塗りあがった漆器にも価値を感じていらっしゃるだろうか?」
たとえお客様が体験で塗った漆器であっても、「河和田の漆器」としてのクオリティを求めてしまうことにジレンマを感じていたそうです。

そんな錦古里さんの苦心の末に生まれたのが「越前焼に漆を塗る」体験メニュー。
従来の「漆器」だとお客様が塗った漆のムラがどうしても普段目にする漆器との違いから気になりがちですが、陶器に塗るなら多少のムラも「味」としてご納得いただけるのではないか?そう考えた錦古里さんは自ら越前焼の陶芸まつりに足を運び、いくつかの焼き物を購入して実際に漆を塗ってみたそうです。
すると錦古里さんの思惑通り、漆のツヤをまとった味わいある陶器、いや「漆器」が出来上がりました。

今では専用の焼き物を越前焼の窯元に制作依頼をするほどの、人気体験メニューに成長しました。産地と産地が近いからこそ実現したメニューですね。
ではいよいよ体験へ。

体験料(税込4,400円)を支払ったのち、自分が塗りたい陶器の形と漆の色をセレクトします。
う〜〜〜、めっちゃ悩む!
選んだ焼き物はすでに下塗りまで施されています。底面に漆塗りならではの道具「つく」を取り付け準備完了。いよいよ漆を塗っていきます。

一定の力加減を意識して均一に漆を塗ろうと思うのですが、これがなかなか難しい。デモンストレーションで職人の方が迷いなく筆を運ばれるのを見て、改めて一朝一夕では出来ない技だと実感。
でも集中して漆を塗る作業に没頭するのは、なんだかとっても清々しい気持ちになります。

塗り終わった越前焼は体験料のほか器代(税込1,100円)を支払えば、後日漆が完全に乾いた後にご自宅へ送ることも可能です。ほとんどの方が後日配送を選ばれるそう。
ちなみに錦古里漆器店内には、錦古里さんが仕上げた漆塗りの越前焼も並んでいます。
「漆器は出来上がった時が完成ではなくて、そこから何十年もかけて塗装表面の硬度も高まり、色やツヤが良くなっていくもの。」と錦古里さんは言います。

自分で塗ったものなら、愛着はひとしおではないでしょうか。
ぜひあなただけの「漆器」を作りに、河和田の錦古里漆器店へお越しください。
案内人
