敦賀市地域おこし協力隊アテンド!敦賀アーケードツアー(後編)

敦賀アーケードツアー(中編)はこちら

カグ〜ル




神楽通り沿いにある、まちの共有スペース「カグール」。リノベーションワークショップ「敦賀Rハッカソン」がきっかけで、「遊べる公園」というコンセプトをもとに、敦賀に訪れた観光客の休憩スペースや、コワーキングスペース、貸し切りのイベントスペースなど、多目的に使用できるスペースとして誕生しました




入り口のインフォメーションでは、イベントやまちの情報に関するチラシやパンフレットが設置されており、敦賀に関する情報収集ができます。

ドロップインの利用の場合、2時間500円でWi-Fiも利用できます。

ちなみに、西山さんも1ヶ月に2日間このインフォメーションに滞在し、気軽にいろんな人とお話できる機会を設けています。イベントや講演といった何か特別な催しを企画するというわけではなく、オープンなスペースに"ただいる"ことで、知り合いの人とそうじゃない人問わず、様々な人に会えるのではないかと考えたそうです。



また、インフォメーションの左に見えるやぐらのスペースは、半個室のようになっており、ちょっとした作業や打ち合わせなどに使いやすそう。他にも寄り合いのスペースや、小上がりになっているフリースペースなどもあり、使う人が自由に用途を考えられそうな空間です。





カグールを出ると、目の前には「氣比さん」こと氣比神宮があります。このあたりは、毎月第2土曜日にはキッチンカーが出ており、人が賑わうそうですよ。



また、町中には、学生の創作俳句があちらこちらではられていたり、学生が描いたというシャッターアートがあったり。

のびのびと鮮やかな色使いで、心が晴れやかになります。

まちの中に人の手が加わっていることが感じられると、どこかホッとして元気が出ます。こういった積み重ねが、徐々にまちへの思い入れへと繋がっていくのでしょうか。


奥井海生堂

次は、永平寺御用達の昆布を販売する創業150年を超える老舗昆布屋「奥井海生堂」にお伺いしようと思ったところ、なんと定休日でした……

ただ、せっかくなので、敦賀と昆布の関係性について少しだけ。



敦賀は江戸時代から松前貿易(北海道交易)の拠点として栄え、水運にも恵まれ、北前船により北海道や東北から運ばれてきた海産物をさらに関西に流通する役割を担っていました。そして、中継地点として利尻昆布や羅臼昆布など一級品の昆布が敦賀で下ろされることで、敦賀には昆布屋や問屋が増えていったとか。また、関西の食シーンにおいて昆布出汁はつきものなので、敦賀から関西への昆布の出荷量も増え、それにともない敦賀での荷揚げの量も増加していったようです。

ちなみに、敦賀で下ろされた昆布は職人によって手を加えられることも。その代表加工例としておぼろ昆布があります。敦賀市のおぼろ昆布の生産量は、なんと全国シェアの80%もの割合を占めています。



さあ、もうそろそろアーケードも終盤、だいぶ奥の方まで進んできました。またまたアーケードの形状が変わったのですが、これは波を表現したような形。確かに近くには海の気配があります。そして、このアーケードの裏側を見てみると…

福井県敦賀市の色ヶ浜沖にある無人島「水島」

気比神宮例大祭で巡行する勇壮華麗な山車「観世屋町山車」

敦賀の伝統銘菓「豆らくがん」

などなど、「敦賀といえば?」という場所や物、祭りなどの名前がこっそり記されています。敦賀ビギナーには面白い仕組み。



さらに、「敦賀ヨーロッパ軒」を発見!
福井といえば甘めなソースに柔らかいカツが癖になるソースカツ丼が有名ですが、中でもヨーロッパ軒はソースカツ丼の名店。ただし、敦賀の場合はヨーロッパ軒ではなく、「敦賀ヨーロッパ軒」に名前が変化するようです。

立派な佇まいの敦賀ヨーロッパ軒本店。レトロでかわいい。

入り口には日本語でなくロシア語の表記が。

前編でご説明したように、敦賀は欧亜国際連絡国際列車を運行しており、敦賀からウラジオストクに連絡、そこからフランス・パリに直行できる便がありました。当時は多くのロシア人が敦賀に訪れたといい、この看板も当時の名残であることがわかります。「ロシアの人もヨーロッパ軒のソースカツ丼を食べていたのか…」と思うと、今のコロナ下の状況を踏まえても感慨深いものがあります。改めて、敦賀の歴史を感じることができました。


小料理 登喜輪(ときわ)

少し歩き疲れたのとお腹が空いてきたので、早めの夜ご飯に参ります。



訪問したのは、「小料理 登喜輪」。敦賀ヨーロッパ軒のある通りから、一本西側に入った通りにあります。



店内は、入ってすぐにカウンター席があり、奥には小上がりのお座敷の席もあります。

至るところにいるふぐは店主さんの手作りの剥製なんだとか


登喜輪で食べられるのは、店主が敦賀湾で丹精込めて養殖した敦賀ふぐ。まず驚きなのが、「ふぐってこんな値段で食べられるの?」と驚く料金設定です。ふぐ料理のコースもお料理もかなりのお手頃価格。これを一年中楽しめるのはかなり贅沢ですよね。

ただ、その安さに驚いたのもつかの間、そんなことすっかり忘れるくらいに味が抜群に美味しいのです。お通しではふぐの鉄皮を出して頂き、これだけでお酒がぐんぐん進みます。

 

また、ふぐといえば鉄刺(てっさ)がメジャーかと思いますが、店員さんが「ふぐのたたきが本当に美味しいわよ。私達は鉄刺より好きなの!」と教えてくださり、迷わず注文しました。

結果、注文して大正解。少し炙られたふぐは、あっさりと淡白でありながらも、香りが良く、鉄刺よりも少し分厚く切られているのもあり、噛めば噛むほどふぐの旨味がしっかりと感じられます。


他にもふっくらと揚げられたふぐの唐揚げや、同じく敦賀湾で養殖する敦賀真鯛の煮付けも。ちょうどいい味付けで、魚の美味しさをここぞとばかりに噛み締めます。

ビールが進んじゃうなあ…

ゆったりとした雰囲気の中、ちょっとずつふぐを食べながら会話を楽しむ時間は、至福以外の何ものでもなく……

身も心もとっても満たされた気持ちになりました。



旨味たっぷり、きゅっと身の引き締まったぷりぷり食感の敦賀ふぐをリーズナブルにお腹いっぱい食べられる登喜輪。季節問わず、食べたいときに美味しいふぐとお魚を堪能したい方は、見逃せないお店です。



さて、コンテンツ盛りだくさんの敦賀アーケードツアーもこれにて終了。

敦賀に訪れた際には、車から降りてまちを歩き、歴史を感じ、そして人に出会うことで、まちや人の息吹を感じてみてはいかがでしょうか?

新しい旅のすゝめ。その土地特有の匂いや空気感までも、ぜひお土産にどうぞ。

案内人

谷垣奈穂
谷垣奈穂
TOURISTORE/SAVA!STOREスタッフのかたわら、ライターをしています。鯖江に移住してからというものの、車社会でなかなか歩かないため、全身の筋力が著しく低下しており、老後に一抹の不安があります。今年は筋トレをして健やかボディを目指すのが目標です。